「趣味がない」社会人がまず試すべきは、道具も準備もいらない「今日できる1分ミッション」です。 具体的には、(1)帰り道で青いものを1枚撮る、(2)本棚から1冊抜いて3ページだけ読む、(3)ノートに「今日よかったこと」を一行書く、の3つ。 どれも所要1分・費用0円・道具不要で、3つ全部ではなく「今日できそうな1つ」だけ選べば十分です。

休日の夕方、ふと気がつくとスマホを4時間スクロールしていた。 夕飯を食べて、また少しスマホを眺めて、シャワーを浴びて、寝る。 「明日からまた仕事か」と思って、布団に入る。

そんな一日が、続いている。

「趣味がない」ことを誰かに責められたわけではない。 けれど、職場の雑談で「休日は何してたんですか?」と聞かれたとき、 答えに詰まる自分がいる。

この記事は、そういう人のために書きました。

「趣味がない」のは自分だけ?

いいえ、「趣味がない」と感じている社会人は、まったく珍しくありません。 それは才能や性格の問題ではなく、始め方(入口の設計)の問題であることが多いからです。

仕事を始めて数年、生活のリズムが整って、平日は仕事と移動と睡眠で埋まり、休日は疲れを取るための時間になる。 学生時代には自然とあった「暇だから何かやろう」という時間の余白が、社会人になるとほとんどなくなります。

しかも厄介なのは、SNSを開けば「映える趣味を楽しむ人たち」が次から次へと流れてくることです。 コーヒー、キャンプ、写真、推し活、旅行、ジム。 それらを見て「自分も何かやらなきゃ」と思うのに、いざ始めようとすると、何をすればいいのかわからない。 そのうち「やっぱり自分には向いてないのかも」と諦めて、また次の休日が来る。

このループに入ると、抜け出すのは難しい。 でも、それは入口の設計が大きすぎるだけ。小さくすれば、抜け出せます。 (「何もしたくない」気分が強い日は、何もしないをやめたい日に読む話も、よかったらどうぞ。)

なぜ「趣味を始める」のは難しいの?

理由は大きく3つ。最初のハードルが高すぎること、上手くやろうとしすぎること、成果を求めすぎること、です。 ひとつずつ、もう少し細かく分解してみます。

1. 最初のハードルが高すぎる

最初の一歩が大きいほど、脳は「面倒くさい」を感じて動けなくなります。

写真を始めようと思って、いきなり一眼レフを買うと、続きません。 料理を始めようと思って、いきなり「今日から自炊するぞ」と決めると、続きません。

人間の脳は、新しい行動を「面倒くさい」と感じやすくできています。 最初の一歩が大きいほど、その「面倒くさい」が勝ってしまう。 (道具を買ったところで止まってしまう人は、道具を買ったのに使っていない話も参考になります。)

2. 「上手くやらなきゃ」と思いすぎる

上手くやろうとするほど、下手な自分を見るのがつらくなって、手が止まります。

SNSで上手な人の作品を見たあとに自分の手元を見ると、 「下手な自分を見るのがつらい」という気持ちが先に立ちます。

特に大人になると、新しいことを始めるときに「初心者の姿を見せる」のが恥ずかしくなります。 これは性格の問題ではなく、年齢を重ねるごとに自然に強くなる感情です。

3. 続けても何にもならない気がする

成果を求めすぎると、すぐに飽きます。趣味は本来、成果ではなく「やっている時間そのもの」が目的だからです。

「これをやって、自分はどうなりたいのか」がわからないと、続ける理由が見つかりません。 逆に「成果」を求めすぎると、すぐに飽きます。

趣味は本来「成果のための活動」ではなく、「やっている時間そのものが楽しい活動」のはずです。 でも、仕事で「成果」に向き合っている時間が長いほど、趣味にも成果を求めてしまう癖がつきます。 (始めてもすぐ飽きてしまう感覚が強い人は、すぐ飽きる自分との付き合い方もどうぞ。)

何を始めればいい?趣味選びの3つの軸

候補を絞るには、(1)一人か誰かとか、(2)家か外か、(3)道具がいるかいらないか、の3つの軸で考えると整理しやすくなります。 「何を始めればいいかわからない」とき、まずこの3軸で候補を絞ってみてください。

軸1:一人でできるか、誰かと一緒か

最初の一歩としては、自分のペースだけで進められる「一人で完結する趣味」の方が始めやすい人が多いです。

社交的な趣味(フットサル、コミュニティ系イベント、グループレッスン)は、続けるのに「相手」が必要です。 誰かと予定を合わせる労力がかかる代わりに、「行かなきゃ申し訳ない」という良い意味のプレッシャーが働きます。

一方、一人で完結する趣味(読書、散歩、写真、日記)は、自分のペースだけで続けられます。 最初の一歩としては、こちらの方が始めやすい人が多いです。 (一人の時間で完結する趣味を探したい人は、一人で静かに楽しめる趣味ものぞいてみてください。)

軸2:家でできるか、外に出るか

雨の日や疲れた日でも続けるために、「家でできる選択肢」を必ず1つは持っておくのがおすすめです。

仕事で疲れている平日や、天気の悪い休日でも続けるためには、「家でできる選択肢」を必ず持っておくと良いです。 「外に出る趣味」だけにすると、雨の日や疲れた日にゼロになります。

軸3:道具がいるか、いらないか

「家にあるもので始められる趣味」から入る方が、挫折しにくくなります。道具を買った時点で満足して止まってしまうことが多いからです。

道具を買うと、続けたくなる気がします。 でも実際は、道具を買った時点で満足してしまうことが多い。

「家にあるもので始められる趣味」から入って、続きそうだとわかってから道具を買う方が、途中でやめにくくなります。 (費用をかけずに始めたい人は、お金をかけない趣味10選も参考になります。)

今日できる1分ミッションは何?

所要1分・費用0円・道具不要でできるミッションを3つ紹介します。「青いものを1枚撮る」「3ページだけ読む」「今日よかったことを一行書く」です。 3つ全部やる必要はありません。今日「これならできそう」と思った1つだけ選んでください。

ミッション1:帰り道で「青いもの」を1枚撮る

帰り道に「青いもの」を1つ見つけて、スマホで1枚撮るだけ。道具も準備もいりません。

帰り道、家から駅、コンビニまで。 スマホのカメラを構えて、青い看板でも、空でも、誰かの傘でも、なんでもいい。 「青いもの」を1つだけ見つけて、1枚撮ります

これは写真の練習ではありません。 「いつも歩いている道に、何があるか」をちゃんと見るためのミッションです。

驚くほど、自分が周りを見ていなかったことに気づきます。 1週間続けると、通勤路の解像度が変わります。 これが、写真や散歩という趣味の入口になります。 (撮るのが面白くなってきたら、3か月だけ続けてみる写真の始め方へ。)

ミッション2:本棚から1冊抜いて、3ページだけ読む

積読から1冊抜いて、最初の3ページだけ読む。最後まで読まなくていいし、明日続けるかどうかも今は決めなくていい。

積読の中から、何でもいい、1冊を抜きます。 最初の3ページだけ読みます。 最後まで読まなくていい。明日続けるかも、明日決めなくていい。

3ページ読み終わったら、その本を元の場所に戻すか、机の上に出しておく。それだけ。

これは読書の練習ではありません。 「本を開く」という最初の動作のハードルを、ぎりぎりまで下げるためのミッションです。

「3ページなら読める」を10回繰り返したら、30ページ読んだことになります。 それは、何も読まなかった1ヶ月よりずっと多い。 (このやり方を深めたい人は、3ページだけ読む読書術もどうぞ。)

ミッション3:ノートに「今日よかったこと」を一行書く

「今日よかったこと」を一行だけ書く。スマホのメモでも、レシートの裏でも、付箋でもかまいません。

完璧な日記じゃなくていい。 スマホのメモアプリでも、レシートの裏でも、付箋でも。 「今日よかったこと」を1つだけ書く

「ランチのカレーが美味しかった」「電車が空いていた」「夕方の空が綺麗だった」。 そんなレベルでいい。

これは日記の練習ではありません。 「今日、自分に何が起こったか」を1日1回だけ振り返るためのミッションです。

1週間続けると、自分が何に小さな喜びを感じる人間なのかが見えてきます。 これは、自分に合う趣味を見つけるための「自己理解」のデータになります。 (一行から始める日記が気になった人は、一行日記の始め方へ。)

趣味を続けるコツは?

コツは3つ。「毎日」を目標にしないこと、できなかった日を責めないこと、道具より先に「時間と場所」を決めることです。 1分ミッションを試したあと、もう少し続けてみたいと思ったら、このコツを覚えておくと挫折しにくくなります。

コツ1:「毎日」を目標にしない

最初の目標は「週3回」「3日に1回」くらいの緩いペースにします。毎日を目標にすると、1日休んだだけで止まってしまうからです。

「毎日続ける」を目標にすると、1日でも休んだ瞬間に挫折感が来て、そのまま止めてしまいます。

代わりに、「週3回」「3日に1回」のように、少し緩いペースを最初の目標にします。 休んだ日があっても、次の日にまた戻れます。

コツ2:「できなかった日」を責めない

できなかった日は失敗ではなく、「今日は休みの日だった」とニュートラルに記録するだけにします。

「今日はやらなかった」を、失敗として扱わない。 「今日は休みの日だった」と、ニュートラルに記録するだけ。

人間の意志力には波があります。 意志力が高い日にやって、低い日は休む。それでも続けば、それは立派な「続いている」状態です。 (「やる気が出る日と出ない日の差が激しい」と感じる人は、やる気が波打つ自分との付き合い方もどうぞ。)

コツ3:道具より「時間と場所」を先に決める

道具より先に「いつ、どこでやるか」を決める方が、続きやすくなります。道具は必要だとわかってから揃えれば十分です。

新しい趣味を始めるとき、道具を揃えたくなる気持ちはわかります。 でも、続けるために本当に大事なのは、「いつ、どこでやるか」を先に決めることです。

「夜、歯を磨いたあと、机で5分」のように、生活のリズムに組み込めると、続きやすくなります。 道具はそのあと、必要だとわかってから揃えれば十分です。

7日間だけ試すのはなぜいい?

7日間は、1週間の中に必ず「休日」と「平日」が両方含まれる長さだからです。忙しい日も疲れた日も込みで続けられた経験が、自信になります。

「1分ミッションをやってみて、もう少しちゃんと取り組んでみたい」と思ったら、 7日間だけ続けてみるのがおすすめです。

7日間というのは、1週間の中に必ず「休日」と「平日」が両方含まれる長さです。 仕事が忙しい日、休んだ日、天気が悪い日、調子の良い日、全部入ります。 その中で続けられた経験は、「続けられる自信」になります。

逆に、3日でやめてしまっても、3日続けた事実は残ります。 0日と3日には大きな差があります。 (「なぜ自分は三日坊主なんだろう」と気になった人は、三日坊主の正体もどうぞ。)


「趣味がない」のは、あなたの欠点ではありません。 入口の設計を少し小さくするだけで、続けられる趣味が見つかる可能性は十分あります。

次の一手として、もし「自分にはどんな入口が合うんだろう」と少しでも気になったら、 TinyTrailの無料の趣味タイプ診断(16タイプ)を、気楽にのぞいてみてください。 いくつかの質問に答えるだけで、あなたに合いそうな趣味の方向性を整理できます。続ける義務はありません。 (16タイプ診断の解説で、どんなタイプがあるか先に見ておくこともできます。)

続かなくても大丈夫。今日の1分が、半年後の「趣味がある自分」につながる、最初の一歩になります。 合うか整理したくなったら、そのときに気楽にどうぞ。